陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
小十郎に言われて、仕方なく部屋で大人しくしていたが、いい加減、暇すぎて部屋の中でいるのも嫌になってきた。


あ…トイレ行きたい。


ふと頭の中をよぎる。そして、無性にトイレに行きたくて仕方がなくなってきた。


ま、トイレくらいだったら許してもらえるよねー…?


そっと襖から顔をひょっこりと出して辺りをうかがってみる。小十郎の姿はなかったので、ほっと胸をなでおろし、部屋を出た。

「うーん…でかすぎ」

屋敷が大きく、部屋がたくさんあるせいで、しっかり幸姫は迷子になっていた。

「あ、すいません」

そばを通りかかった女中の1人に声をかける。

「はい。なにか?」

「あの、お手洗いお借りしたいんですけど…」

聞くと女性はきょとんとした顔をする。

「おてあらい…ですか?」

女性の顔に、幸姫は首を傾げた。


私…変なこと言ったっけ?お手洗いって日本語だよね?


「えっと…その……」


とにかく、お手洗いが通じないんだったら…この時代だと…


「か、厠?」

自信無げに呟いてみると、女性はあぁ、と頷いた。

「厠なら、この廊下を突き当たって左に行けばありますよ」

「ありがとうございます」

幸姫はぺこりと頭を下げると、パタパタと廊下を走っていった。

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