陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
政宗は何も言わず、幸姫の手を引いてすたすたと歩いていく。

「わぁ!」

必死で政宗についていこうと、というより、ついていくしかない状態のせいで、しかも、歩きなれない服に靴を履いているせいで、躓きこけそうになった。

「………」

政宗がじっとこっちを見てくる。
さっきからずっと変だ。

「乗れ」

政宗の馬がくると、そのまま馬に乗せられ、政宗も後ろに乗って馬を走らせ、小田原城を後にした。


…さっきのこと、怒ってるのかなぁ、やっぱり。


結局、信長が刀を納めたので、幸姫も刀をおろし、そのまま部屋を後にした。
が、その後から、政宗の様子がおかしい。
というよりも、怒っているような気がしてならなかった。


なに、あれ?
女に守られたのが悔しい…的な?
んなの、あの状態では仕方なくない?


はぁ、と大きなため息をつきながら、次々と変わる景色を、ぼうっと見ていた。

「あ!」

ふと、見覚えのある旅籠を見つけた。
幸姫の声に、政宗は馬を止める。

「あ…あの…あそこ、私達が止まってた宿で…」

もごもごと口ごもる幸姫に、政宗は何も言わず、はたごの前まで行き、幸姫を降ろした。


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