陽のあたる場所で 〜戦国遊戯３〜
「次、何したらいいですか？」

「早いねぇって…ちょいとあんた、誰だい！？」

気づいた女中が驚いて大声をあげる。

「え？あー…えっと」

なんて答えればいいのかと答えあぐねていると、１人の女中が小さくあっと声を漏らした。

「小十郎様と一緒にいた娘だよ、この子」

その言葉に、幸姫は苦笑いを浮かべた。

「ちょっと事情がありまして。その小十郎さんを待ってるんですけど、何もすることが無くて暇だったから。なんだか忙しそうだったし、お料理ならお手伝いできると思って」

幸姫が言うと、女中たちは少し困ったような表情を浮かべて、お互いの顔を見合った。

「すいません。余計なお世話でしたよね」

慌てて幸姫は頭を下げて、その場を立ち去ろうとした。
と、そのとき、最初に気づいた女中が幸姫の腕をつかんだ。

「あんた、包丁は使えるんだね？」

ちらりと幸姫の切った、きれいに太さのそろっている大根を見ていった。

「はい。母が仕事で家を空けることが多かったから、炊事洗濯、家事全般は結構得意ですよ」

笑って言うと、女中はそれなら、と次々と野菜を幸姫に手渡していった。

「ほらほらみんな、仕事仕事！小十郎様が帰ってくるまでに、食事の準備が終わらないよ！」

みんなで声を掛け合いながら、大量の食事を作っていく。幸姫も楽しそうに笑みを浮かべながら、一生懸命自分も野菜を切っていった。

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