陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
政宗は城に戻ると、小十郎を呼びつけた。

「いい加減、あそことケリをつける」

小十郎が襖を開けると同時に、政宗が言う。
その一言に、小十郎の動きは止まり、目を見開いて政宗の方を見た。

「もしや…」

政宗は小さく頷く。


幸姫の腕はやはり確かだ。いろいろなものを試させたが、なかなか飲み込みがはやい。玲子譲りの勘と動きもあるのだろうが、多分本人の気構えがこの数日で大きく変わった。


「幸姫を供につけるぞ」

政宗の言葉に、小十郎はあからさまに顔をしかめた。

「何を」

言っているのかわからないと言いたげな表情を浮かべる小十郎を無言で圧する。


今から仕込めば、あれは化ける。
供に戦にで、国を守る。


「あの風魔も使わねばな」


幸姫は勿論だが、戦力として申し分のない小太郎も、幸姫を餌に使えば動かせる。


あれは幸姫に気があるからな。



くくっと小さく笑うと、政宗は呟くように言った。

「戦だ」

その言葉を聞いて、小十郎は嬉しそうに、頭を下げた。

「畏まりまして」





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