陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
こういうときの政宗様は、何故か鋭い。


思わずこぼれそうになる溜息を、小十郎はごくりと飲み込んだ。

「どうした、小十郎」

「いえ、何も」

いつものように屋敷へ出向く。
そう、いつもであれば、堅苦しい仕事の話など飽きたと言っては、ふらりとどこかへ姿をくらまし、そのまま奥方のところなり、城下町なりへと逃げ出すというのに。
それがなぜか今日に限って、屋敷に来ると言い出したのだ。


…玲子の娘が居るなどと知ったら、また、とんでもないことになりそうで、口が裂けても言えん。


「早く飯にしようぜ」

政宗にそういわれて、小十郎は小さく頭を下げた。

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