陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
「幸姫、起きているか?」

襖の向こうから声がした。

「うん、ちゃんと起きてるよ」

そう答えながら襖をあける。

「おはようございます」

そういうと、小十郎は小さく頷いて返す。

「あぁ、おはよう」

幸姫はまだ薄暗い廊下を、小十郎と一緒に並んで歩く。

「眠れたか?」

聞かれて幸姫は苦笑しながら頷いた。

「一応。意外と眠れるもんだね」

もう少し緊張して、眠れなくなったりするかと思っていたが、布団に入るとすぐに眠ってしまっていた。


…変な夢は見たけどね。


ふと、夢を思い出して動きが止まった。

「どうした?」

小十郎に聞かれてはっと我に返る。


大丈夫、これは夢じゃない。


できれば夢であってほしいと思うけれど。
あの夢に比べれば、まだこっちの方がいい。


「なんでも」

そう言うとそっと小十郎の着物の端を掴んだ。


…大丈夫。これは現実。


幸姫はホッと小さく息をついた。







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