陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
「お…お帰りなさ」

「ここで何をしている」

明らかにお怒りモードの小十郎に幸姫は硬直する。

「えっと…その……」

ガシッと頭をつかんでぎちぎちと締め上げる小十郎。

「じっとしていろと言ったはずだが」

「い、いた…イタイイタイ!」

思わず小十郎のみぞおちを蹴り上げる。
きれいにヒットした小十郎は、ぐふっと小さく呻くと、頭をつかんでいた手を放した。

「貴様…!」

腰に帯刀してあったものをすっと取り出そうとした瞬間だった。

「小十郎」

氷のように冷たい、喜多の声が聞こえてきた。

「っ…、はぁ…」

深呼吸をすると、小十郎はぎろりと幸姫をにらみつけた。

「いいか。今、この屋敷に政宗様がいらっしゃっている。お前は絶対に、顔を見られないよう、じっと!おとなしく!!部屋でお帰りになるのを待っていろ。いいな!?」

有無を言わさぬ小十郎の言葉に、幸姫はぶんぶんと頭を縦に振った。

「姉上。政宗様には、この娘のこと、内密にお願いいたします」

小十郎の言葉に、喜多は少しだけ考えると、分かりました、と頷いた。

「いいな?絶対に、部屋から一歩も出るんじゃないぞ!?」

そう言い残して、小十郎と喜多は部屋を出て行った。



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