陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
「…連れ去られた、という痕跡はないのだな?」

腕を着物に通しながら聞く。

「はっ。昨夜、最後に幸姫を見たあとに、不審な物音や、人影を見かけた者はおりません。部屋も特に荒れたりした様子はありません」

小十郎の言葉を聞いて、政宗は小さく、わかった、と答えると、部屋を出ようとした。

「政宗様」

呼び止められるように、声をかけられ、政宗は立ち止まる。

「止めても無駄だぞ」

短く、威圧するように言うと、小十郎は小さく首を横にふった。

「わかっております。…止めませんよ」

ため息混じりに小十郎は続けた。






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