陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
「なぜそこまで幸姫を?玲子のことが、まだ」

「小十郎」

政宗は小十郎を制す。

「………」

小十郎は黙っているが、ただじっと、政宗を見つめて、言葉を待っていた。

しばらくの沈黙の後、先に口を開いたのは政宗だった。

「玲子のことは、忘れることはできぬ」

政宗の言葉に、小十郎は頷いた。

「確かに、幸姫があそこまで玲子に似ていなければ、ここまで気にかけることもなかったかもな」

言って政宗は笑った。

「だがな、興味を持ったのが、切っ掛けがなんであれ、ただ、玲子に似ている、玲子の娘ってだけで、ここまで気に入ったりはしねぇよ」

言われて、今までにあっさりと『捨てて』いかれた者たちを思い出した。

「俺はあれの中身まで欲しい。幸姫に俺のことだけを見て、思い、考えさせてぇんだ。ただの見た目の似た身代わり人形は、いらねぇんだよ」

そう言ってスタスタと部屋を出ていった。






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