陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
『ごめんね』



聞こえてきたのは、今にも消えてしまいそうなほど、小さな声。
小太郎は更に躊躇った。



…一体何なんだ……


訳がわからなくなる。
主の傍にいかなくてはと思っているのに、体が動かない。



『ソバニイルカラ』



その言葉に、何かが小太郎の中で弾けた。
記憶が、まるで雨のように次から次へとふってくる。


気がつけば、目の前にいたはずの主の姿は消えてなくなり、辺りはまた、暗闇に戻っていた。
痛みが徐々に戻ってくる。

小太郎は、ゆっくりと目を閉じて、痛みを噛みしめながら笑った。


「…すまない、主。俺にはまだ、護らねばならぬものがあった」

そう呟くと、ゆっくりと深呼吸をしながら、目を開けた。







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