陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
連れられてきたのは、姉滝だった。

「お前はよく、ここへ来ていたと聞いた」

政宗の言葉に、私は笑った。

「ばれてたんだ…こっそり来てたつもりだったんだけどな」

ここから来たことが、すべての始まりだったから。
帰るとしたら、ここからじゃないかと思っていたので、暇を見つけてはここまで足をよくのばしていた。

馬から下りると、滝の音を聞きながら、私は続けた。

「いつかは帰るんだって思ってたんだけどさ、なんか…なかなか帰れなくて」

しゃがみこみ、地面に積もった雪を手に取った。

「帰りたい、か?」

聞かれて私は苦笑する。

「そりゃ、ね」

手に取った雪を、ぼとっと落とす。

「でも、わかんない」

吐く息は白い。

「帰り方がわからないからっていうのもあるけど…ここにも、私の居場所が出来たから」


< 501 / 524 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop