陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
と、不意に政宗がぎゅっと抱きしめてきた。

「政宗?」

「帰さぬ」

小さく呟く政宗の声に、私は動けなくなった。

「言っただろう。お前を離しはしないと。たとえそれで、お前を待っているものが居たとして、悲しむとしても。それでもお前を離すつもりはない」

そう言うと、少しだけ体を離し、優しく唇を重ねてきた。

「俺にはもう、お前がいない世界など考えられん。どうしても帰るというのであれば、そのときは、俺を殺していけ」

そっと唇を離して言う。

「何言って」

「お前のいない世界に、俺の生きる意味などない」

政宗の目から、涙がこぼれた。
私はそれを、そっと拭う。

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