陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
「な!?おい、泣くな!」

「へ?」

小十郎に言われて、自分の目からぽろぽろと涙がこぼれている事に気づいた。

「やだ、恥ずかしい!」

慌てて涙を拭う幸姫。
その様子をみて、少しだけ安堵した様子で小十郎が声をかけてきた。

「もしかして、帰り方がわからないのか?」

小十郎の言葉に、幸姫はびくんと体が震えた。

「道が分からない…というわけでもなさそうだな」

フルフルと震える幸姫の様子を見て、小十郎はふむ、と唸る。

「事情はわからんが、とりあえず、しばらくは家にいればいいだろう」

小十郎の言葉に、目を見開いた。

「なん…で…?」

ビックリして涙が止まる。
その様子を見た小十郎は苦笑する。

「今のお前をこのまま追い出したら、姉上に殺されてしまうだろうからな」

小十郎に言われて、その姿が容易に想像できて、少し笑えた。

「それに、お前を追って、政宗様までふらりと何処かに行かれてはたまらんからな」

小さく溜息をつく小十郎を見て、幸姫はあはは、と笑った。


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