陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
この男の言うことは、いつだって正しい。
たとえ俺が道を踏み外そうとしても、必ずそれを正してくる。

そして、俺が本当にしたいことを、口にしなくても理解してくれもする。


わかっている。


そう、答えようとしたが、声に出なかった。

目の前にいるこの娘は、似てはいるが玲子とは違う。
それは…幾度となく、思い知らされてきたことだ。

いつまでも女のことを引きずるなど格好悪い、そう思っていた。

しかし、忘れたいと思う気持ちと、忘れたくないと願う思いは、政宗の中でいつも混在していたのだ。


愛姫を傷つけ、泣かせてしまった時、小十郎に言われた一言。

『奥州筆頭であることをお忘れですか』

その一言で、俺は、

『忘れなくては』

そう思った。
そしてそれからは、玲子のことは考えないようにしていた。

そして、いつの間にか。
玲子に出会う前の俺に戻った。

そう、思っていた。
だが。


「それでもあいつは…やっぱり特別だったんだよ」


深く、静かに息を吐く。
ほんのりと紅潮した幸姫の頬を撫でながら、政宗はそう、呟いた。


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