陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
幸姫を撫でながら思い出す。
玲子の顔、声、雰囲気。

数年たった今でも、鮮明に思い出すことができる。

笑った顔に、泣いた顔。
怒った顔に、戸惑った顔。

あのふんわりと優しい香りにやわらかい髪、肌、唇。

自分のものにできなかったのがどれだけ悔しかったか。
あんな…信玄のことしか頭に無いような真田なんぞに取られたと思うと、今でも腹が立つ。


ちらりと幸姫を見つめ、政宗はふぅ、と息を吐いた。

「今日はもう寝る。寝床の用意をしろ」

政宗がそういうと、小十郎は頭を上げることなく、かしこまり、と呟いた。

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