恋の説明書
家に入るなり、靴を乱暴に脱ぎ捨てる。
「あら、棗お帰り。今日お兄ちゃんが」
お母さんの言葉を気にも止めずに、階段をかけ上がり自分の部屋へと向かう。
ベッドへとダイブした。
今までだって、今まで彼氏がいたことないことバカにされたことだってあった。
そんなあたしの逃げ道だった乙女ゲーをもバカにされたことだって山ほどある。
今までは、そんなだっていいじゃないかと思ってた。
だけど、親友の変わった姿を見て焦り始めていた。
そんなのバカみたいと言われるかもしれない。あたしは、あたしなのだからと。
だけど、あたしだって恋してみたい。
そんな時にあの男にからかわれて、あたしはからかわれるぐらいの女だと。
あれくらいで慌てるのはそんなにおかしいのかと。
悲しかった。それ以上に悔しかった。
そんなにいけないのかな、恋をしたことないのが…。