恋の説明書
「痛ってぇ…」
棗に殴られた右頬を擦る。
アイツ、馬鹿力だな。
体系も昔よりパワーアップしてたし。
お世辞にも、スタイルがいいとは言えない。
だけど俺を見る嫌そうな目は変わらない。俺が誰かは気づいてないみたいだけど。
それよりも、もっと。俺がアイツを構いたくなるのは変わらない。
何年たっても。
「何年たっても変わらないねぇ…」
するとニヤニヤしながら、笑う1人の男が現れた。
茶髪にゆるいパーマをかけた、いかにもチャラそうな男。
西森 蒼真。
「うるせ!てめぇ、遅ぇんだよ!!」
怒鳴りながら、立ち上がる。
「久しぶりに会った親友に言う言葉?棗にも久しぶりに会ったってのに、またいじめて…」
コイツは棗のアニキだ。そして俺の昔からの親友。
棗とは全く似ていない。棗もコイツに似ていたら、コイツと同様モテただろうに。
まぁ、俺にとっては好都合だが。