恋の説明書

「余計なこと言うんじゃねーよ」


棗の母親は「あらあら」なんて言って笑っている。

「久しぶりに俺の部屋行こうぜ」


蒼真に促され、その場を後にして二階へと上がる。


それより、さっきの言葉が気になってる。


「なあ、棗ってさ…」


俺が言い終わらないうちに蒼真は、何が言いたいか分かったようで。


「ああ、彼氏のこと?今までできたことないよ」


…さっきの聞いてやがったのか。


「…盗み聞きなんて悪趣味なやつ」


「嫌だなあ、たまたま聞こえただけじゃん!それにしてもさ、久しぶりに会ったんだから会いたかったくらい言えば?」


「言えるかよ!それにアイツは俺のこと気づいてない」

「ええ!?まじ?」


蒼真は、ありえないと言うような顔をしていた。

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