恋の説明書
「ああ」
俺は短く答える。
「伊織、そんなに変わってないのにね。まあ、棗は生身の人間に興味がないからね」
蒼真の言葉に目が点だ。
「は?」
生身の人間って、どうゆうことだ?
「棗はねー、ゲームで恋愛してるんだ。乙女ゲーってやつ」
…棗は太っただけではなく、オタクになっていたのか。
「きゃー!!」
「!!」
すると奇声が。俺の記憶が正しければ、多分棗の声だ。
それと、バンバンと床を叩くような音が聞こえる。
「今、ゲーム中だと思うよ」
戸惑う俺をよそに、蒼真は慣れているのか冷静に言う。