恋の説明書

「ああ」


俺は短く答える。


「伊織、そんなに変わってないのにね。まあ、棗は生身の人間に興味がないからね」


蒼真の言葉に目が点だ。

「は?」


生身の人間って、どうゆうことだ?


「棗はねー、ゲームで恋愛してるんだ。乙女ゲーってやつ」


…棗は太っただけではなく、オタクになっていたのか。


「きゃー!!」

「!!」


すると奇声が。俺の記憶が正しければ、多分棗の声だ。


それと、バンバンと床を叩くような音が聞こえる。

「今、ゲーム中だと思うよ」


戸惑う俺をよそに、蒼真は慣れているのか冷静に言う。


< 17 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop