恋の説明書
ガキの頃から、棗は漫画ばかり読んでた気がしたが
こんなにも熱中しているとは。

「…ひいた?」

そんな俺に蒼真は聞く。

「…まさか」

蒼真を見て、即答する。

たしかに驚いたけど、こんなことでひくわけがない。

何年待ったと思ってるんだ。

「そ。安心した。ま、俺はこんなオタク女嫌だけどねー」

あはは、と笑う蒼真。

すると廊下に電子音が鳴り響く。

蒼真は、すばやく携帯を取り出す。

「だれだれー?カナちゃんかな?ヒカリちゃん?ミカちゃんか」


おい、おまえは何人女がいるんだ。

学生時代からコイツの女癖は悪かったが、それは今も健在らしい。

「わりぃ、伊織。ちょっと棗の部屋ででも暇つぶしててくれね?」

「ああ」

< 18 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop