恋の説明書
そうは思うものの、携帯の中の男の人のアドレスはゼロ。
男の人と話すことなんて、バイトでの業務的会話くらい。
青春時代は恋愛シュミレーションゲーム、いわゆる乙女ゲーのキャラに恋をしていて生身の男なんて興味がなかった。
あたしって、オタクってやつなのだろうか。腐女子って部類ではないが、高校時代の友達は漫画やゲーム好きな子だった。
あたしたちは、オタクだけどすごくカワイイなんてわけじゃないから
もちろん彼氏なんていなかった。
興味もなかったし。
そんなあたしの友達結子。メガネが特徴的な女のコだった。
この前久しぶりに結子にあったら、トレードマークのメガネはコンタクトに変わっていて
顔には華やかなメイクが施されていて。
オタクになんかに見えなくて、普通の女のコになっていた。
そして、彼氏ができたとの報告を受けた。
度肝を抜かれた!!
結子はあたしと一緒だと思っていたのに、あたしだけ取り残されたような
変な感情だけがあたしの心に残った。
そして、おめでとうと言えずに別れてしまった。 あたしの心はなんて狭いんだろうか。
人は人。あたしはあたしなのに。
恋人なんていらないなんて思ってたはずなのに。
結子とは、また会う約束をして別れた。
だけど、結子はまだオタクらしく安心した。