恋の説明書
先程の嫌なことを忘れ去るかのように、あたしはゲームのコントローラーを握る。
さっきみたいに馬鹿にされることなんて初めてじゃない。付き合ったことも、人を好きになったことすらないあたしを馬鹿にする同級生はいた。
その度にあたしは、ゲームの電源を入れる。
「はぁ、やっぱロミオ様は素敵だ…」
だって、ゲームの中の王子様はあたしを傷つけることは言わないから。
外見で判断する男なんていない。
あたしをお姫様みたいに扱ってくれる。
痛いと非難してくれたっていい。
だけど、これがあたしなんだ。
いくら恋をしたいって思っても、あたしはやっぱりここに逃げてしまう。
「おい」
すると、お兄ちゃん以外の声が聞こえ不振に思い振り返る。
なんと、そこに立っていたのはさっきの最低男だった。
あたしは、目を見開いた。