恋の説明書
じわっと涙が滲む。
拳を握り締める。
「なんてことすんのよ…」
ゲーム機の電源を落とす。
あたしの至福の時まで壊して、馬鹿にした男。
むかつく、むかつく、むかつくっ!!
いつのまにか、あたしの家に上がり込んでるし
いつまで居座る気なんだ!!
あたしは、心の中で憤慨する。
「棗ー!ご飯よ」
階段の下から、お母さんが呼びかける声がした。
「よしっ!ヤケ食いしてやる」
そう呟くなり、部屋を出てドスドスと階段を下りた。
あの男は、さすがに帰っただろうと今日の夕飯は何だろうと考えているあたしなのだった。