恋の説明書


「起きなよ、朝だよ」



いつの間にか寝てしまったあたし。


そんなあたしに優しい声をかけてくれる、一人の男の人。


あたしの王子様。






そんなわけもなく、あたしを起こしてくれるのはアラーム設定しといたロミオのボイス。



「はぁぁぁ、やっぱロミオの声素敵」



でも、それだけで幸せ。


「なに、独り言言ってんだよ。キモイぞ、棗」



「うっさいな、勝手に入ってこないでよ」


目の前には我が兄。


会社に行くというのに、合コンに行くのではないかと思うくらいにバッチリと髪がセットされている。


「なあ、おまえさ。昨日伊織のこと見てどう思った?」



お兄ちゃんの唐突な一言に、眉を寄せる。


「どうって…相変わらずムカつく」



「ぶっ!はははは」


何がおかしいのか、お兄ちゃんは吹き出した。


「まぁ、いいや。さっさと降りてこいよ」



そう言い、部屋を出ていく。


…なんだったんだろうか。



バイトだし、早く支度しないと…!



急いで服に着替え、洗面所へ行き顔を洗い歯を磨き髪を整えた。


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