恋の説明書

大和さんもお兄ちゃんの同級生で、生徒会長をやっていたそうで。


志保さんは、生徒会の書記をやっていて生徒会で出会いお付き合いして結婚に至ったらしい。


「でも、蒼真君て女の子大好きで女好きってかんじなんだけど五十嵐君は、来るもの拒まず去るもの追わずってかんじで自分から女の子を求めることがないって有名だったのよ。だから、みんな体だけの関係をしてきた。それしか、彼と繋がる方法がなかったから。彼の気持ちも欲しいとねだる子は、すぐ切り捨てられたわ」


あいつが最低なことは知っていたけど、志保さんの話を聞いて更に思う。


あたしの知らないあいつ。
やはり、最低だと。


人一人好きになったことはできないけど、なんでお兄ちゃんたちは一人の人を好きでいることが出来ないのだろう。



「志保さん、一人のことを好きでいるって難しいことなんてしょうか?」

志保さんに疑問をぶつける。


「蒼真君たちのことを言ってるのかな?棗ちゃんは?そういう人いない?」


脚立に登り、本棚の上の方に本を並べてる。


志保さんは上から見下ろし、微笑む。


「あたし、誰かのことを好きになったことがないんです。今までは、漫画やゲームが恋人みたいなものだったから…」


相談なんて、結子以外にしたことなんてなかった。
もっとも、恋愛のことなんて初めてだけど。


だけど、それは志保さんの優しさや落ち着いた雰囲気がお姉さんのように感じたからなのかも。


新しく入荷した人気作家の本をコーナーに並べながら話す。



「今は違うの?」


頭上から志保さんの落ち着いた声が聞こえる。


「…最近、友達に彼氏ができたんです。久しぶりに会った友達はすごく綺麗になってて。あたしだけは、まだゲームに夢中でなんだか取り残された気持ちになっってしまって。それに、彼氏ってどんなものだろうって思うようになったんです」


こんな気持ち、志保さんはどうおもうだろう。



< 37 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop