恋の説明書
脚立を引っ掴んできて、乱暴に登る。
「おい、気をつけろよ」
「………」
だったら、自分でしろ!!!
「っ!~!!」
脚立を使っても届かなくて、背伸びをしてやっと腕を伸ばす。
やっと本に触れることができて、本を掴んだ。
だけど、それと同時にバランスを崩して足を踏み外してしまった。
息を飲む。
衝撃はなくて、変わりに五十嵐 伊織に受け止められた。
片手はあたしの腕を包んで、もう片方はあたしの膝の裏に手を入れてる。
いわゆる、お姫様抱っこってやつだ。
「重い。少しは痩せろよ」
「だったら、下ろせばいいでしょ!!!」
まったく失礼な男だ!憤慨するあたしだけれど、一向に下ろしてくれない。
「下ろしてってば!!」
奴の肩をひたすら殴ると、やっと下ろしてくれた。
すると、五十嵐 伊織は急に詰め寄ってきてあたしは自然と本棚に背をくっつけることになった。
「な、なによ急に…」
「おまえ、もう上がりだろ。待ってるから早く来いよ」
なぜか、耳元で囁かれる。
耳元にかかる息がくすぐったくて、身体中が熱くなるのを感じた。
こんなの少女漫画によくあるパターンで、相手は最低男なんだけど
今、仕事中なんだけどすごくドキドキした。