恋の説明書
直ぐ様、男も運転席に乗り込んできた。
「下ろしてよ!」
一体、なんなんだこの男…!
なんで、見ず知らずの男の車に押し込まれてるわけ…!
「…嫌だね」
あたしの願いも虚しく、男はギアを操作し車は発信した。
なんて男だ!
「おい、シートベルトしろよ」
素直に応じる馬鹿なあたし。
「ちょっと、なんであたしを連れ込んだのよ。分けをいいなさいよ」
「理由なんかない」
なんだと…?
「理由なく知らない男の車に連れ込まれてたまるかっ!」
男の耳元でこれでもかってくらい、大声で騒ぐ。
男は、顔をしかませる。
眉も潜めて本気でうるさそうだ。
「わっ、うるせ!
おまえは相変わらずクソガキだな」
「え…?」
意味がわからないという、あたしの表情を見て男は溜め息をついた。
「…ほんとに覚えてないんだな」