あの音をもう1度
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「おはよう」
私はリビングの扉を開けた。
今日は快晴。
見事な青。
「おはよう!奏。朝ごはん出来てるわよ」
いつも以上に笑顔なお母さんが手を振った。
楽兄は椅子に座ったまま動かない。
いつもなら
「おはよ!奏♪」
って抱きついてくるのに。
いつもの朝とは違う。
なぜなら今日は・・・
「…とうとうコンクールの日だな」
楽兄がゆっくりと言った。
そう。
・・
今日は、あのコンクールの日。
この数カ月の努力した力を出す日。
「…うん。そうだね…」
昨日なんて今日がコンクールだと思うとあまりの眠れなかった。