あの音をもう1度
私のすぐ前からスポットライトが当たっている。
勇気を振り絞り、ステージの
袖から1歩踏み出した。
静かな観客席。
そして体に突き刺さる何百人の視線。
その中、私は礼をした。
上からスポットが降り注ぐ。
まだ冬なのに、その熱で少し体が熱くなる。
懐かしい・・・感じだ。
久しぶりの感覚に緊張や不安よりも懐かしさを覚えてしまう。
昔はプレッシャーとか全然なくてこの感覚もある意味楽しかった。
さすがに今の私にはこれを楽しむ気持ちにはなれないけど・・・
悪い感じはしない。
クルッと振り返って私はピアノのほうへ向かった。