あの音をもう1度



***



そして何事もなく平和に1日が終わった。











「ねぇ、涼太。話って?」


帰り道、私は話を切り出した。




「あぁ…」




ん?どうしたんだろ?



なんとも歯切れの悪い涼太。



いつもなら、スパッと言うのに…


それに心なしか不機嫌。






「…あの後、コンクールが終わった後に調べてみたんだよ。
あの男について」




えっ?





「どこかで見たことがある気がしてさ。調べてみてわかったんだ」


涼太は1枚の紙を差し出した。





「・・・天才、ヴァイオリンニスト。
バルトニア・多喜(タキ)ぃぃ?」





なによ。


このふざけた名前の人…


< 153 / 255 >

この作品をシェア

pagetop