あの音をもう1度
「君がピアノを止めたと聞いて衝撃を受けたよ!
だがッ!
あの日、コンクールを審査員として行ってまたピアノを弾く姿を見つけた。
感動したよ!ピアノにも…美しく成長した奏ちゃんにも!
やはり奏ちゃんは僕の運命の人だ!」
キラキラした目で見つめられる。
あ、はははっ…ι
困惑しながらも、やっと疑問が解明された。
どうりで私がわからないわけだ。
直接、会ったことがないだもの。
しかもお母さんに習いに来てた頃って何年前の話?
そうやって困っていると
「バルトニアさん、気易く触らないでください」
楽兄かと思ったら、涼太がバルトニアさんの手を振り払って私の手を握った。