あの音をもう1度
大きな決断 希望を持って
それから数日、私はもぬけの殻のようだった。
周りは受験モードで、そんな余裕の雰囲気じゃないのが逆によかった気がした。
栞も進学するからって必死に勉強していたから、今の状況なんて言えなくて…ただ悩み続けた。
「あ~…。寒い」
そう言いながらも私は屋上のドアを開けた。
こんな真冬に人がいないのなんて当たり前で、空は雪が降りそうだった。
涼太も受験勉強をしているからか、あれ以来話していない。
「バカだな・・・・私」
誰もいないのに1人でポツリと空に呟いた。
--こんなの考えなくても決まっている。
フランスに行くべきなんだ。
そこで力をつけたらいい。