あの音をもう1度




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多くの人ごみの中、私は久しぶりに日本の地を踏んだ。





「懐かしい~!」



空港はあの頃と変わっていなくて、つい頬がゆるんだ。



けれど外の景色は変わっていて…自分がいかに日本を離れていたかを知らされた気がした。






「…よし。行こ」



そう意気込んで満開の桜道を通りながらタクシーに乗った。





お母さんには今日帰国することは言ってある。



けど、どうしても1番に会いたい人がいる――






“キッ”とタクシーが止まったのは大きなビルの前。



お母さんが話を通してくれたみたいで受付を横目にエレベーターに乗り込んだ。


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