あの音をもう1度
『お前に…奏にもう一度ピアノを弾いてほしいんだ!』
昨日の鈴宮の言葉。
すごく真剣で真っ直ぐだった。
少なくともからかうとかそんなんじゃない。
隣町から転校してきて、私の過去も知っている。
「鈴宮…。あなたは一体…」
“コンコンッ”
部屋のノックが聞こえた。
「はい」
「あ、奏。起きたのね」
「お母さん…」
お母さんは安心したような顔になって部屋に入ってきた。
「ねぇ、お母さん。私…」
「昨日はびっくりしたわよ。学校で倒れるだなんて」