赤い糸は意外な所に・・・
旅の始まり
ここは河内(大阪東部)のとある道場・・・そこに甲高いけど威勢のよい声が響いていた。

「たああああっ!!!」

「涼、またお前か。十五にもなるのにこんなことをして・・・」

「あ、義兄上。いいじゃないですか。私は剣が好きなんです。」

「だけど、おまえは武士の娘でもあるんだぞ。それに、そろそろ婚期だし、落ち着いた行動を・・・あれ?涼!また逃げたか・・・。」

「はあはあ・・・義兄上の説教は長いからな・・・風八もあんな風になってしまうのかな。」

この元気な少女は白鶴涼(シラツルリョウ)。幼いころから剣を握りながら育った。武士といっても足軽の子孫である。ちなみに彼女の義兄は白鶴矢之助(シラツルヤノスケ)。涼より十五年上の姉、華(ハナ)の婿でこの道場を涼が幼い時からついでいる。風八(カザハチ)は2人の息子でこの年十二になる。

(最近、家にいるのが窮屈になってしまった。私が男だったら家を出て・・・いや、女だろうと関係ない・・・!いっそのこと!)


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