赤い糸は意外な所に・・・
「・・・どうして?」

「うち、何故か目が覚めたんよ。そしたら涼之助はんがいなかったけん、心配して探したとよ。さっきは危なかったなあ。」

「・・・ごめん、心配掛けて。でもどうやってさっきは・・・。」

「実は、うちの旦那はんやった人が武術のうまか人で、暇な時に教えてもらったんよ。」

「そうなんだ。」

「それはそうと、女子が夜に一人で歩いたらあかんで。」

「わ、私は女子じゃ・・・って何するの!」

「うちの手を振りほどいてみ。」

「え・・・?んん、あれ、くっ・・・どうして・・・。」

「男としては力の弱いほうであるうちの手もほどけん。さっきだって、うちがこなかったらどんなことになってたか・・・。」

「・・・・・・」

「どんなに見た目を男っぽくしても、男であることには変わりはなか。まずは、自分が女子であることを十分に認めないと。」

「・・・そう、だな。朝弥の言ってること、正しいかも。」

「うん。それでええんや。・・・なあ、お涼はん。うち、いや、俺は・・・」

急に朝弥は声を低くした。

「お涼が好きなんだ。」

朝弥の目は男になっていた。そして涼の唇に彼の唇が重ねられた。

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