飴色蝶 *Ⅰ*
「こんな遅い時間に
 女性が一人では心配だ
 送って行って差し上げよう」

私が、その申し出を丁寧に断り
その場を離れようとした時

彼は庵先輩の話を持ち出した。

「君が欲しい人
 それはイオリの事だね」

「どうして、それを・・・」

「この間、初めて君に会った
 あの店の前で
 偶然に、君達が抱き合う姿
 を見てしまったんだ
 
 イオリが目をかけている女に
 手を出す程、私は
 女に不自由はしていない」

車のドアが、開いた。
   
「さあ、乗りなさい
 イオリと君がどういう関係
 なのか教えてくれないか?
 その代わりに私が知っている
 イオリの事を君に全て
 話して聞かせてあげよう」

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