飴色蝶 *Ⅰ*

宿命

「イオリが、どうして
 女にだらしないか
 
 教えてあげよう

 それは宿命ってやつの
 せいさ」

「宿命?」

「アイツは、私の後を継いで
 この高月組を背負って行く
 運命の元、この世に生を
 享けた 
 
 将来、極道になると分かって
 いるのに、堅気の女に本気に
 なる馬鹿はいない
 好きな女を危険な目には
 合わせたくないと男なら
 誰もが思うだろう
 
 アイツはどこかで
 逃れられない宿命を
 受け入れていたんだろう」
 
会長は、遠くを見つめながら
昔を思い出していた。
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