飴色蝶 *Ⅰ*
「ありがとう、化粧で何とか
 誤魔化すわ
 あなたがいてくれて良かった
 最後まで、迷惑をかけて
 ごめんなさいね
 
 もう一人でも大丈夫なので
 このお金でタクシーを
 ひろって帰ってください」
        
彼女はお金を差し出したが
私は受け取らなかった。
 
「ごめんなさい、私、貴女が
 先輩の恋人だって事を
 知らずに
 つい、ペラペラと・・・」

「気にしないであなたの言葉
 私、とっても嬉しかった
 イオリの気持ちが分かって
 良かった
 もう、それだけでいい」

それだけでいい・・・

彼女はこの時、既に、庵先輩
との別れを決心していたの?
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