飴色蝶 *Ⅰ*
私は、いつになれば

彼の事を忘れられるの?

「すみれ」

愛しい人の声が聞こえる。

振り向けば、私はまた泣き顔を
彼に見せて

庵を困らせてしまうだけ

それだけは嫌。

彼が私の元へ駆けてくる足音
が聞こえる。

「こないで

 来ないで
 
 私はもう、イオリ・・・
 あなたを愛していない
 
 だから心配しないでいいよ」

私は、夜だというのに

星ひとつ無い

明るい街を駆けて行った。

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