飴色蝶 *Ⅰ*

世界

私は、どうしてあんな行動を
取れたのか自分でも分からない
 
ただ、震える彼女には
庵が必要だと思った。
 
だから、支配人に無理を言って
彼の連絡先を教えてもらい
ホステスのふりをして彼に電話
をした。

初めて、電話で話す庵の声は
耳にズーンと重く響く
素敵な声だった。

私は、携帯の発信履歴を消した
 
知りたかった彼の番号を

・・・消した。

きっと彼も私の番号を消去した
に違いない。

そう思っていたのに・・・
< 129 / 488 >

この作品をシェア

pagetop