飴色蝶 *Ⅰ*
痛さに叫び声を上げて
飛び上がる男を

冷めた瞳で見つめる庵の
姿に、辺りの男達はゾクゾク
した怖さを覚え
   
囚われて動けなくなる。

庵は、その男の肩を掠め

伊納組の中で一番偉そうな
奴の前で立ち止まり
その男を、じっと見つめた。
 
伊納組の若衆が、その男に
声をかけた。

「組長」

「あなたが、伊納組の新しい
 親分さんですか
 お話は聞いています
 
 こんな些細な喧嘩にまで
 親分さんが顔を出すとは
 さぞ、組員の事が心配
 なんでしょうね
 
 尻(ケツ)拭きも
 大変ですね」

「組長に、何を・・・」
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