飴色蝶 *Ⅰ*
一瞬の出来事に
何が起こったのか
分からない。
 
考えるよりも先に
瞳いっぱいに
涙が溢れた。

その涙は
似合っていない派手な
アイメイクを落とす
勢いで頬を流れていく

庵は、彼女の涙を見て
胸が痛くなった。

でもその胸の痛みに
気づかないふりをして
穢れを知らない
菫から目を逸らす。

その後、麻子が庵先輩と
付き合っているという噂
が学校中に広まったが
真意は定かではない。

でも、あの日以来
麻子は私を避けて
距離を取るようになった
 
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