飴色蝶 *Ⅰ*
この胸が、苦しい。

さすがに、学校内へ入る事は
できなかった。

校門の外、懐かしい香りに
タイムスリップする。
  
友達と馬鹿な事を言って
廊下を走る。

女子トイレで、友達のリップを
貸りて唇を彩る。
 
退屈な授業はそっちのけで
私は、ある時間だけ窓際の友達
に席を変わってもらい、校庭の
運動場に、先輩の姿を探す。
ダルそうに体を動かす先輩

背伸びをする先輩

そして風のように疾走する先輩

何時間だって、貴方を
見つめていたい。

現実に戻り、私は虚しさに

深いため息をつく。
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