飴色蝶 *Ⅰ*
ソファーに置かれたままの
ジャケットの形が崩れる事が
気になった私は投げ捨てられて
いたハンガーを取りジャケット
の形を整えて吊るした。

綺麗に片付いている部屋

窓の外に広がる世界を
見つめていた。

「それ、ありがとう」

シャワーを浴びて

濡れた髪を拭く彼は

ハンガーに吊るされた

ジャケットを指差した。

「何か入れるよ」

「ううん
 どうぞ気を使わないで
 イオリ、妹さんにお線香を
 あげてもいいかな?」

「ああ」
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