飴色蝶 *Ⅰ*
庵に通された部屋は、カーテン
で閉めきられていて
光が射さない、悲しい色に
染まった部屋だった。

そこに、遺骨が三柱

笑顔の素敵な遺影が
飾られていた。

お線香をあげ終えた私に
庵は呟いた。

「すみれ、ありがとう
 葬式も密葬で終わらせたから
 妹の死を知っている奴は
 少なくて・・・ありがとう」

私に、庵は深く頭を下げた。

出掛ける準備をする

庵の足元がふら付く。
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