飴色蝶 *Ⅰ*
「イオリ
 いつでも電話してきてね

 話し相手ぐらいには
 なれるから・・・

 イオリ?」

私は驚いて何も言えなくなる。

私を強く抱きしめた庵は

私の耳元で

壊れかけた声で囁いた。

「すみれ、遣らせて」

やっと、貴方の事

・・・忘れられる

・・・そう、思ったのに。

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