飴色蝶 *Ⅰ*
鳴らない携帯

住む世界

何も言わずに、勝手に
あの部屋を出て帰って来て
おきながら

庵から何か連絡は無いかと
携帯を手放せない私がいた。

鳴らない携帯を握り締めながら
私は眠ろうと目を閉じたが
眠れない。

庵と触れ合った私の体は
もう私のものではないみたいに
言う事を聞いてくれない。
 
眠らなくちゃ

・・・そう思う私と

眠りたくない

・・・そう思う私がいる。

何も話さずに帰って来て
しまった事を後悔している
私がいた。
 
イオリ、貴方は、ちゃんと
眠れているだろうか?
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