飴色蝶 *Ⅰ*
タクシーは、走り出す。

「妹さんの事
 会長から聞いたわ
 この度は、ご愁傷様でした」

朱莉の目を真っ直ぐに見つめて
少し冷めた声で庵は、朱莉に
問いかけた。

「そんな事は、どうでもいい
 どうして、あれから一度も
 俺の電話に出ない」
 
朱莉は、目を逸らさずに言う。

「組長の女に手を出して
 指が飛ばないのは
 イオリ、貴方ぐらいよ

 会長に感謝して
 もう、私と逢うのは
 止めた方がいい」
 
「お前は、それでいいの?」

朱莉は、窓の外を見つめた。
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