飴色蝶 *Ⅰ*
会長は、庵に朱莉の全てを
話して聞かせた。
   
「シュリは、幼い時に両親を
 亡くし、孤児院に預けられて
 育ったものの、中学を出て
 一文無しで、社会に
 放り出された」

学の無い彼女に世間の荒波は
厳しく、年齢も若く思うように
仕事にも就けない

しかたがなく年齢を偽って
コンビニで働いた、安い賃金で
長時間労働、生活していく為に
休日は違うバイトも
掛け持ちした

毎日、来る日も来る日も
体がボロボロになっても
弱音を言わずに彼女は働いた。
   
「お前も親を亡くした後
 必死に働いただろうから
 あいつの辛さが、少しは
 分かるだろう
 
 シュリは、お前以上に
 もっと苦労したんだ」
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